確定申告の季節ですね。
私は、30歳の頃、医療費控除に該当するほど夫婦で医療費を使った年があり、それを機に確定申告の味を知りました。(美味でした)
まじで、確定申告、おいしすぎる。
いや、既に支払った税金が還付されるだけなんで、おいしいというわけではないのですが、知らないうちに、いかに税金をむしり取られているのかを思い知る機会となりました。その後は毎年確定申告を実施しています。
個人的には、ある程度の知識とやり方さえ学べばできる作業ですし、作業負荷の割にはリターンが大きいので、コスパが良いと感じています。なぜ、若いころは、知りもしないのに敬遠していたのか、今になってしまえば謎です。
さて、ここでは配当金及び配当控除について記載致します。
配当金はご存じ、NISA枠でなければ税金が20%ほど発生します。源泉徴収される配当金の税金内訳は、所得税が15.315%(端数は復興特別所得税)、住民税が5%です。
まずは確定申告では、このうちの所得税(15%)分を取り返しに行きます。
ご存じの通り、日本国は所得税については累進課税制度を採用しており、所得が大きい人には多額の所得税を、所得が少ない人には少額の所得税を、できるだけカーブはなめらかになるように計算されております。(これが、高額収入の方々がタックスヘイブンを目指す理由ですね)
以下が、累進課税制度における所得税率です。
所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000 |
配当金は、支払われるときに自動的に約20%の税金を差し引いて支払われているのが通例です。これは申告分離課税と呼ばれる制度で、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算されてしまいます。
しかし、低所得だと、上記の速見表通り本来は15%分も所得税を払う必要がありません。所得が195万円以下だと、5%でよいはずです。
つまり、所得によりますが、配当金にかかる税金も、「分離課税」ではなく確定申告における各種の所得金額(もちろん給与所得を含む)を合計して「総合課税」にすることで、最大で5%まで圧縮することが可能、10%分は還元を受けることが可能です。
もし所得が195万円で100万円の受取配当金(税引き前)があるのであれば、15万円既に所得税として支払っているが、10万円は返ってくることになります。単純計算ですが。
また、税率のギャップだけでは図れないメリットとして、配当控除があります。
配当控除
そもそも配当金は、企業が法人税を支払った後に株主に分配しているものなので、税金はすでに徴収されているはずなのです。
個人として受け取る場合、配当金は課税対象になってしまうのですが、配当金が支払われるまでの経緯を考慮して配当控除というもので調整しています。尚、日本株のみが対象で、外国株の配当金には配当控除がありません。
一般的な上場企業の配当控除額は、配当金の10%と規定されています。
仮に30万の配当金収入があれば、3万円の配当控除となります。
そして、重要なことが1つ、この控除というのは、所得から計算された税額から直接控除されるのです。「税額控除」と呼ばれるものです。
所得税の計算はざっくり書くと
{[所得]-[所得から差し引かれる金額}×税率=所得税
扶養控除、生命保険料控除 などは「所得から差し引かれる金額」に含まれます。
一方配当控除は計算した所得税額からその額が引かれるという点で他の控除と一線を画しています。おなじ単語を使わないでもらいたい。
{[所得]-[所得から差し引かれる金額(例:保険料控除、扶養控除など)]}×税率=所得税(暫定)-配当控除=所得税!
具体的にどれほどの威力を発揮するのでしょうか。
二つのケーススタディで考えます。(ぶっちゃけ嫁と僕です)
1.会社員年収300万円、うち配当金は30万円(税引き前)、全て日本株の場合
会社員として、年収300万円だと、ざっくり所得は200万円ほどになります。
控除額は基礎控除38万円ふくめ保険控除等もあって、代替90万円くらい。
[所得]-[所得から差し引かれる金額]=約100万円となります。
上の速水表によると、この課税される所得金額は100万円と195万円以下なので税率5%になります。額としては5万円!
この時、配当控除は全て日本株として30万円の10%で3万円となります。
5万円-3万円で、支払うべき所得税は2万円となります。
配当金が30万円だとすると、既に4万5千円は支払っているはずです。既にいくら源泉徴収されているかの条件は適当ですが、少なくとも4万5千円-2万円の2万5千円はかえってくるはず・・・
2.会社員年収650万円、うち配当金は30万円の場合
上記と同様ですが、税率が変わってきます。
会社員として、年収650万円だと、ざっくり所得は450万円ほどになります。
控除額は基礎控除38万円ふくめ保険控除等もあって、代替100万円くらいとしましょう。
[所得]-[所得から差し引かれる金額]=約350万円となります。
上の速見表によると、この課税される所得金額は350万円と20%になります。ただし、控除額が42万円であることから、額としては約28万円。
この時、配当控除は全て日本株として30万円の10%で3万円となります。
28万円-3万円で、支払うべき所得税は25万円となります。
配当金が30万円だとすると、既に4万5千円は支払っているはずです。既にいくら源泉徴収されているかの条件は適当ですが、そのまま30万円所得が少ない320万円だとすれば、確定申告前は22万円の所得税+配当金4万5千円の合計26万5千円でした。
差額である1万5千円が還付されるシミュレーションになります。
2つのケーススタディでは、確定申告により、還付されることがわかりました。
そして、ケース①と②を比較した場合、還付金額が①の方が大きいシミュレーション結果になりました。
つまり、配当控除は低所得の方が還付される金額が大きいようになっているのです。
未経験の方はハードルがあるかもしれません。しかし、配当金を受け取っている方であれば、是非とも確定申告をやって、支払いすぎている所得税を取りに行ってほしいですね。
確定申告での具体的なアクションとしては、配当金の入力と総合課税の選択ですね。
以下を入力するを選択すると、、、

配当金の課税方法の選択画面になります。
ここで「総合課税」を選択し、あとは、特定口座年間取引報告書等から金額を入力すればOKです。

確定申告の配当控除は、国税庁もQ&Aを作って配布しているので、是非参照されればとおもいます。
住民税
尚、住民税については、総合課税にすることなく源泉徴収のままにしておくことがベターである、という結論。
住民税は計算が複雑でかつ、自治体によって均等割の地域差が発生するが、年間の住民税はだいたい所得の10%みたいな感度を持っています。
配当金では5%源泉徴収であることから、そうなると、圧縮どころか引き上げられてしまう。住民税は大人しく5%徴収で引き下がるのが吉・・・
以上、配当控除に関する考察でした。
